産業機器ソリューション

冷陰極電離真空計 研究開発成果発表

有機性ガスによる汚染や腐食性の雰囲気に耐えられる信頼性の高い電離真空計を開発して、真空機器の生産性の改善と生産コストの低減を図る研究


株式会社アンペールと有限会社真空実験室は冷陰極電離真空計 CCTG共同研究開発を進めて参りました。

この全く新しい正マグネトロン型冷陰極電離真空計 CCTG(Cold Cathode Tough Gauge)の研究開発は、国からの委託を受け、モノ作り基盤技術の高度化に資する革新的かつハイリスクな研究開発を行うものです。


現在、研究開発を完了し、製品化致しました。


平成19~20年度戦略的基盤技術高度化支援事業

「有機性ガスによる汚染や腐食性の雰囲気に耐えられる信頼性の高い電離真空計を

開発して、真空機器の生産性の改善と生産コストの低減を図る研究」


平成21年3月 成果報告書   資料ダウンロード



研究の背景及び経緯

現代の情報家電、自動車などの川下製造業者の技術高度化には、真空技術が不可欠である。真空技術が向上すれば製造産業における、生産性の向上、生産コストの低減が進行し、世界的産業競争に勝つことができる。このような状況の中、真空容器中の真空の程度(圧力)を知る真空計が雰囲気ガスにより侵されて劣化し、正しい圧力測定ができなくなる問題が発生している。この問題を解決する1つの方策として、汚染に強い真空計の開発を行うことが重要である。


川下製造業者が使用する真空蒸着やスパッタ薄膜製造装置、有機化合物を使うCVD半導体製造装置などの真空装置は、バックグランド圧力として10-4Pa以下、10-6Pa程度までの高真空、超高真空が使われ、この範囲の真空圧力測定は電離真空計を用いて行なわれている。電離真空計には熱陰極型電離真空計と冷陰極型電離真空計の2種類があるが、産業界にとってはフィラメント切れの生じない後者の冷陰極型電離真空計が重要である。真空装置内に持ち込まれ、加工される製品は、プラスチック類も多く、プラスチック可塑剤のフタル酸やアジピン酸、モータや電線からはシロキサンなどが発生し、電離真空計を汚染劣化させる。また、半導体のエッチング工程などで使用される腐食性の強いガス中では、汚染に加え強い酸化作用を受けるので、電離真空計を用いての圧力計測は行えない。


この問題を解決し精度の高い真空圧力計測を行えるようにするために、汚染に強い冷陰極電離真空計(ColdCathode Tough Gauge, CCTG)を開発し、商品として市場に出す本事業が展開された。


事業のポイントは、

(1)汚染物質が真空計の電極(カソード)に付着しないように常時温めながら測定出来るようにすることと、

(2)腐食を受ける部分の電極を耐腐食性の高い電気伝導性セラミックスで製作し、

劣化が進行しないようにするの2点である(図1、2)。


(図1) 新技術の冷陰極電離真空計の概念図
冷陰極電離真空計概念図
 
(図2) 試作した測定子(左)とコントローラ(右)
試作した測定子とコントローラ
 
 

研究開発の概要と成果


従来の冷陰極電離真空計は、シロキサン汚染で、圧力表示が真値の1/2 ~ 1/10まで劣化する。また、汚染により放電がスタートしなくなり、圧力測定が不能になる。これに対し、我々の考案したCCTGは、シロキサン汚染による劣化は全く起こらず、放電のスタートも確実に行えることを事業出発の初期実験で確認した。


しかし、この実験で、汚染ガスにより、電極や真空計ケースの内壁が汚れ黒化すると、輻射率の増大によりカソード加熱に必要な電力が増すという新たな問題が発生した。このことから、カソード面積を低減し、加熱省電力化を図るため正マグネトロン型の測定子開発に方針を転換した(当初の計画ではペニング型)。しかし、このカソードを小さくする方針転換により、スパッタによりカソードが痩せ細ってしまうという別の問題が発生した。対策として、スパッタ量が増す高い圧力では、自動的に放電電圧を下げてスパッタ量を減らすバイアス最適制御方式の電源計測回路(特許出願予定)を開発した。この制御は、マイクロコンピュータにより計測圧力に最適な放電電圧を自動で制御する新しい方式の電源である(図3)。


一方、CCTGのカソード材は、電気伝導性セラミックスやカーボンなどのヒーター材料などいくつかの材料について、耐酸化性、耐腐食性、耐スパッタ性、繰り返しの通電による熱サイクル耐久性など、いくつかの実用性試験の結果、シリコン含浸シリコンカーバイト(Si-SiC)が最良の材料であるとの結論を得た。 これらの成果を反映させたCCTG試作機は、これまで計測不可能とされてきたCF4-O2混合ガス(エッチングガス)中で動作させても、劣化の進行が遅く、信頼性の高い圧力測定が行えることが加速試験で確かめられている(図4)。 


この他、CCTGは超高真空まで測れる広帯域化が可能で、低漏洩磁束、高耐久性、高信頼性など、従来製品に対して高いアドバンテージを持つことが出来るようになり、本事業の目的は確実に達成できた。


 (図3) 標準ガス(N2)を用いた圧力特性
 標準ガス(N2)を用いた圧力特性
(図4) CF4+O2混合ガス連続計測におけるCCTGと市販真空計の標準真空計に対する比感度の推移
CCTGと市販真空計比感度推移
  (図5) CF4加熱中のSi-SiCカソード(約1000℃)
CF4加熱中のSi-SiCカソード
 
 
 

開発された製品・技術のスペック


1.耐久性
従来の電離真空計では計測不能なエッチングガス(CF4+02混合ガス、約0.01Pa)において、加速耐久試験を行い、他社の冷陰極真空計は5日目で比感度が半分以下に低下したのに対し、CCTGは60日間以上経過しても感度低下は全く起こっていない。(現在も続行中)(図4)。

※ 約10日毎に標準真空計で校正し、データの信頼性を確認している。

   標準真空計は、非測定時はバルブで遮蔽し、汚染を防止している。


2.測定範囲・精度など
圧力測定範囲:10-8 ~ 0.2Pa
測定精度:±25%(図3)
漏洩磁束: ヨーク面から1cmで100G以下
バイアス: 5kV ~ 500V最適制御(計測圧力に最適な電圧に自動制御)


アンペール
株式会社アンペール
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